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喪中を年末に知らせる

■ 喪中


喪中とは「近親者が亡くなった場合に、一定の期間、喪服を着て、故人を偲び、身を慎しんで生活する」期間のことです。
「喪」という漢字には死者を悼んで泣くという意味があり、「服す」は従うという意味ですので、期間中ずっと喪服を着ているわけではありませんが、慎んだ生活に従うというこです。
この期間を「喪中」または「服喪期間」ともいいます。
また、亡くなられてから四十九日まで、神式では50日までの期間を忌中(きちゅう)といいます。

■ 喪中の期間


徳川幕府5代目将軍徳川綱吉の時代に、服忌令(ぶっきれい)が制定されます。
服忌は、喪中と同じ意味で、忌服、服喪ともいいます。
この中に、族や近親者が亡くなった際の喪に服す期間について定めたものがあります。
明治になると、そのまま引き継ぎ、明治七年に、太政官布告の「服忌令」が施行されました。
この服忌令は昭和22年に廃止されているため、現在は喪中について法律で定められているわけではありません。

江戸時代の服忌令

⇒琳琅閣書店

服忌令は「喪に服す」期間と「穢れを忌む」期間に分かれていて、現在一般的となっている喪中の期間は「喪に服す」期間の定めを参考にしています。
この法によると、例えば父母が亡くなった場合の喪中期間は13か月となっています。
また、夫が亡くなった場合妻は同じく13か月に対して、妻が亡くなった場合には、夫は3ケ月(90日間)喪に服するとなっています。
やはり、昔は男性中心の社会だったんですね。(今では通用しません)
江戸時代には、これに反すると罰則もあったようです。

13か月というのは、亡くなった月も含めるので、1周忌までが喪中ということになるのではないでしょうか。
現代では、一般的には親や子供の場合に1年間、祖父母や兄弟姉妹で3~6か月とされています。

喪中の間、正月などの飾りやおせち、初詣などを控えるというのはよく行われていることです。
神棚も閉じ、神社への参拝も忌中の期間は避けます。
他にも、結婚式や何らかの祝賀会への出席、旅行や家の新築などを控えるなど、一般的に言われていることが幾つかありますが
その人その人の状況や環境がありますので、できるだけ「身を慎しむ生活」の範囲の中でそれぞれの判断によるもだと思います。

■ 喪に服す人の範囲


身内のどの範囲の人までが喪に服さなければならいのか。
実は、明確な決まりはありません。
これも一般的に、一親等(父母と子供)、二親等(兄弟や祖父母、そして孫)までがその範囲と言われています。
家族関係においてもいろいろですから、状況に応じてということになるのではないでしょうか。
また、範囲外だとしても、気持ちで喪に服することもありますからね。

■ 喪中はがき


喪中はがきは、喪に服しているため、新年のあいさつを欠きますよ、というお知らせの挨拶状です。
喪中ハガキは、年賀状の受付が12月15日に始まりますので、11月から12月上旬までには届くようにします。
年賀欠礼状ともいいます。
年賀欠礼の文例
「喪中につき年頭のご挨拶を失礼させていただきます」

日本郵便 喪中はがきの一例
 

 私製のはがきを使用する場合には、切手は弔事用の切手があります。


ただし、手紙などの場合には特別に弔事用の切手はありませんので、できるだけ控えめな切手を選ぶといいと思います。

喪中ハガキでは、句読点は使いません。
歴史的に日本語にもともと句読点はなく、現在でも儀礼的な文章では句読点を省くのが慣例となっているようです。
連名で出す場合は、故人との関係で筆頭者から先に書くようにします。

以前は、親族等だけで行う葬儀を密葬と言っていました。
後日、本葬や社葬などで一般の会葬者を呼ぶこともありましたが、現在、密葬は家族葬という形に変わり、小規模な葬儀が多くなってきています。
そのせいもあって、喪中はがきも増加傾向にあります。
今自分が喪に服していることを伝えるのは、知らなかった」ことで、悔やむ方もいらっしゃるので、相手方への思いやりにもなります。
故人の冥福をより多くの方で祈れば、故人もきっと喜ばれるに違いありません。

喪中ハガキ 文例
喪中につき年末年始のご挨拶をご遠慮申し上げます
祖父○○〇〇が〇月〇日に〇〇歳で永眠いたしました
生前に賜りましたご厚情に心から深謝いたしますとともに
明年も変わらぬご厚誼のほど謹んでお願い申し上げます

■ 喪中見舞い


喪中はがきをいただいた方に対して、お悔やみの気持ちを伝えるために、お供え物や線香を贈ることがあります。
この場合の線香は特に形式などが決められているものではありません。
喪中はがきを受け取りました、訃報を知りましたということを伝えるとともに、線香などを贈ることによってお悔やみの気持ちを伝えるものです。
一般的にのしの表書きとしては「喪中御見舞」あるいは「御供」として贈ることになります。